探究活動の指導法⑥(中間発表/中間評価)

探究
年間予定
  • 授業前準備
    ①年間予定とルールの設定
  • 初回授業
    ②シラバスの確認とアンケート実施 
  • 授業2回目前
    ③班分け
  • 授業2回目
    ④テーマ設定
  • 授業3回目以降
    ⑤探究活動開始
  • 7〜8月
    ⑥中間発表/中間評価 ←今回
  • 11〜12月
    ⑥´中間発表/中間評価 ←今回
  • 1〜2月
    ⑦最終発表
  • 発表後
    ⑧総括、冊子の作成

発表準備

いよいよ最初の関門である中間発表です。
この発表までに準備として、教師のやるべきことは、各班のレポートの印刷と発表用スライドを確認し、すべての班のスライドを1つに統合しておくことです。

もし、スライドを班ごとに提出された状態で保存しておくと、発表の時にもたつきが発生してしまいます。具体的には、

スライドを閉じる→新しい班のスライドを開く→開くまで待つ→スライドショーの実行を押す

といった行程が増加し、それぞれで最短でも数秒のロスが発生します。

このロスの時間は発表会にとってプラスにはなりません。会場設営から全て生徒の自主性に任せるのであれば初回は敢えて何も言わずに様子を見るのも良いのかもしれませんが、そんな余裕がある学校は少ないでしょう。

そのため、限られた発表時間が無駄に消費されてしまう事態が発生しないように配慮しておくのが、お互いにとってストレスにならなくて済む方法であると思っています。

統合自体の手間自体は大した事ありません。

予め、「中間発表」というタイトルを作ったスライドを用意しておき、各班のスライドの出来を確認する際にコピー&ペーストをして貼り付けるだけでOKです。

このひと手間をかけるのとかけないのとでは、大きな違いが出てきます。統合が完了していれば、1つの発表用ファイルを開いたら最後まで開きっぱなしで済むようになります。

すると、前述したロスの時間が班の数分浮くことになります。
機器の性能にもよりますが、10秒程度は切り替えにかかります。もし5班分の発表会であれば1分はただ待っている時間を削減することができることになります。

発表で1分といえば300字程度の文章を話すことができると言われています。たかが300字ですが、この時間で有意義な質疑応答が行えるかもしれません。

また、統合をしておくことで生徒は発表のみに集中できるようになります。そのため、急にフリーズするといったイレギュラーが発生しにくく、待ちの時間がないのでたるんだ雰囲気になりにくいのも良い点です。

結果として全体的に質の高い発表会になりやすいので、発表会のスムーズな進行のためにも統合はしっかりとしておきましょう。

また、発表に使う機材のチェックを事前に行い、スムーズに進行できるかを確認しましょう。機材トラブルによって発表の時間がなくなってしまうのが一番もったいない結果になってしまいます。事前に確認するだけで不足の事態を回避できるので、忙しい中ですが確認だけはしてください。

評価シートについて

次は発表会の開始前に配布しておく評価シートについてです。

肝心の評価項目ですが、

  • 発表の聞きやすさ
  • スライドの見やすさ
  • 内容の充実度

の3点をそれぞれ5段階で評価できるような枠を用意しておくと良いでしょう。
その他に「良かった点と悪かった点」を書ける自由記述欄も設定しておくと良いでしょう。

発表会が始まる前に各項目について次のように確認しておきましょう。

「発表の聞きやすさ」は声の大きさや抑揚、スピードなどを評価。
「スライドの見やすさ」はスライド内の文字や図が見やすいか、分かりやすいかを評価。
「内容の充実度」は新たな気づきや情報など、正しく探究になっているかどうかを評価。

この時に、自分の班も含めてすべての評価をつけることを共有しましょう。

そうすることで、自分の班の発表に対する自己評価と他者評価を比較することができるようになります。自分にとっての良い点・悪い点と相手にとっての良い点・悪い点が明確に見えるようになるので、自分たちの発表を客観視する良い指標になります。

中間発表

発表において生徒たちは用意したスライドをもとに頑張って発表をすることになりますが、教師の役割は何でしょうか。

それは、タイムキーパーです。発表の残り時間をタイマーなどで確認をして、ベルやカンペで残り時間を教えてあげると良いでしょう。生徒が時間内に綺麗に発表を終了できるようにサポートに徹します。

発表が終わったら、評価シートを回収して集計を行いましょう。集計では各項目の平均値とその班の自己評価の平均値とコメントを載せておくと良いでしょう。

中間評価

発表が終わったら振り返りを行いましょう。

集計した評価をもとに反省会を各班で行い、次回の発表に向けての改善点を洗い出して次の発表までのスケジュールを立てたいところです。特に、声の大きさやテンポなどは自分で発表をしているとなかなか良し悪しが分かりにくいものです。

そのため、この中間評価は客観的にちゃんと出来ているかどうかを確かめる良い指標になるでしょう。

得られた評価の中で特に重要なものは、もらったコメントと自己評価と他者評価に大きな差があった項目の2点です。

コメントに関しては、直接改善点が指摘されている場合は素直にその意見に向き合ってみましょう。指摘されていた部分を直せばダイレクトに発表の質が向上していくはずです。

次に自己評価と他者評価の差があった項目に関してです。生じた差には2パターン考えられますので、それぞれに対して解説していきます。素直に反省をして次に活かせるようにしましょう。

もし差があまり出ていない場合は、自分たちの発表を正しく客観視できていると言う証拠です。想像と現実が一致しているので、理想な状態と言えるでしょう。

「自己評価 > 他者評価」の場合

この場合は、自己評価の方が周囲の評価より高いということになります。これは自分達としてはできていると思っていたのに、他人から見てみるとそうでもなかったというケースです。

身も蓋もない言い方をすれば、自惚れているとか自信過剰という表現になるでしょう。

原因は何でしょうか、簡単な理由としては自分達の採点が甘かったか、他人の採点が厳しかった場合がありますが、折角具体的な数字で評価が得られたので、それだけで片付けてしまうにはもったいないです。

ここは「自分達が伝えたかった物が上手く伝わっていなかった」ということをぜひ考えてほしいと思います。要は伝え方の問題です。

  • 話し方や声量などが単調でどこが要点か分かりにくかった。
  • スライドが見にくく要点を掴みにくかった。
  • 間が開くことを恐れすぎて、矢継ぎ早になってしまった。

といった理由が見えてくる場合は改善のチャンスです。上手く発表の仕方を変えれば劇的に発表が上達可能性を秘めています。

ただ、評価が低い理由として「探究内容が分かりきっている内容だった」という場合は残念ですが頑張るしかありません。原因を究明して、次の発表で見返せるように準備を進めていきましょう。

「自己評価 < 他者評価」の場合

今度は逆のパターンで、自己評価の方が周囲の評価より低く、自分達の実力を過小評価しているというケースです。

初回であれば、他の班がどの程度の発表をするのかが分かっていないので仕方のない部分がありますが、どうしても自分達の発表を低く見積もってしまうのも前述のケースと同様に問題となります。

良く言えば謙虚ということですが、悪く言えば自分達の強みが分かっていないということです。

どこを強調すればウケが良いのか、どんな工夫をしているから評価が高いのか、などを自覚していないと「何となくやって、何となく上手くいった」という結論になってしまう可能性があります。

プレゼンの練習をしている以上、何をやったら上手くいく/上手くいかないということを理解して、使いこなせるようになってもらわないといけません。

こちらも同様に原因を究明して、次の発表で狙い通りの良い評価を貰えるように準備を進めていきましょう。

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