探究活動の指導法⑤(探究活動開始)

探究
年間予定
  • 授業前準備
    ①年間予定とルールの設定
  • 初回授業
    ②シラバスの確認とアンケート実施 
  • 授業2回目前
    ③班分け
  • 授業2回目
    ④テーマ設定
  • 授業3回目以降
    ⑤探究活動開始 ←今回
  • 7〜8月
    ⑥中間発表/中間評価
  • 11〜12月
    ⑥´中間発表/中間評価
  • 1〜2月
    ⑦最終発表
  • 発表後
    ⑧総括、冊子の作成

探究活動にとって重要なこと

探究活動をにとって最も重要な事は当然、「探求する」ということです。しかし、ただ探究すると言ってもすぐに出来るものではありません。長い探究活動の第一歩としては「調べる」ということが最も重要な事です。

世の中にはどんな情報があるのかを調べておかないと「すでに誰かが調べていた」ということになりかねません。どこまでが既知の事柄で、どこからが未知の事柄なのかを最初にハッキリとさせておかないと二度手間になりかねないのでしっかりと明確にしておきたいところです。

そのために、図書館やコンピューター室を活用することが非常に有効です。
事前に使用申請をしておくと良いでしょう。

インターネット上の情報はすぐに検索ができて非常に便利ですが、信憑性がない情報も多く文献から取得した情報の方が信頼に足ると判断されることが多いので、なるべく図書館を利用するのが望ましいと思います。

図書館司書に手伝ってもらえるのなら、生徒に積極的に相談するように指導してもいいかもしれません。図書館を利用する以上、最も詳しいのは司書です。餅は餅屋、ということで最適な文献や発展的な内容が含まれる書籍を紹介してもらえ、下調べがスムーズに進む可能性が高まります。

また、実利面以外にも図書館を利用することによって、本に親しむ良いきっかけにもなるので教育的効果が高いと言えるでしょう。その他にも、普段の教室等とは違った環境で調べ物をすることで程良い緊張感が生まれ引き締まった探究活動になる可能性も増えるでしょう。

また、コンピューター室の場合は調べ物をすることもできますが、調べ物よりもレポートの作成や発表用のスライドを作成する際に進化を発揮します。

分担して様々な資料を用意したり、データの加工や分析をしたりするには最適でしょう。スケジュールを生徒に管理させることで、最近注目されているタスクマネージメント能力の向上にも一役買ってくれることでしょう。

調べ物の後には

情報を入手した後は、その情報の取り扱い方法も共有しておいた方が良いでしょう。
具体的な方法はアナログとデジタルの2種類あります。

1つ目は探究活動用のノートを作成し、そこにメモを残しておくと言うことです。
最もシンプルで、見返したり共有したりする上で効果が高い方法ですが、グラフや映像などの保存には弱いのが欠点です。

もう一つは学校のクラウド上か専用のUSBを用意し、そこにデータを保存すると言うものです。
最終的には発表用のスライドやレポートを作成するので何らかの電子機器と保存先を用意しておくのが良いでしょう。保存されていないというトラブルも発生するので、ノートで保存するよりも注意を払わないといけないのが欠点ではあります。

どちらも長短があるので、うまく使い分けられると理想的です。

探究活動のヒント

どうすれば有意義な探求活動になるのでしょうか。
ただ闇雲に調べたところでそれだけでは有意義な活動になりません。

そこで、ヒントになる「時間軸」と「4つの流れ」の2つの考え方を紹介します。

探究のヒント:時間軸について

探求するためには情報を整理しておかなければならないことはお伝えしましたが、具体的にはどんなことに注目して情報収集をしていけば良いのかをまとめていきましょう。

具体的な探究のヒントとしては探究する内容を「過去」、「現在」、「未来」の3つの時間軸に分けてそれぞれについてまとめると情報がどんどん整理されていきます。

「過去」・・・どんな歴史があるのか(成り立ちがどういった経緯なのか)を調査する
「現在」・・・現状はどんな様子なのかを分析する
「未来」・・・これからどうなっていくのかを予想する

この3つの時間軸をまとめきれれば十分な情報量になります。
あとは、この情報の中からテーマに必要な項目をピックアップして深掘りしていけば自然と探究活動が進んでいくでしょう。

「過去」と「現在」に関しては純粋に図書館や調べたり、情報を持っている施設や組織に聞き取りを行ったりしてまとめます。「未来」に関しては連想ゲームのようにどんな要素がこれからプラスに働いたり、マイナスに働いたりするのかを想像します。

もし、テーマとして過去の事柄を取り上げる場合は、「当時」というフレーズをつけるか、置き換えるといいでしょう。具体的には「(当時よりも)過去」、「当時」、「(当時よりも)未来」とすると、どの時代を調べればいいのかが分かりやすくなります。

これだけでも探究活動は進められると思いますが、より洗練された探究活動にするために2つ目の探究のヒントを用意しました。

探究のヒント:4つの流れ

調べる時間軸を定めたら、次の「4つの流れ」を意識することで、より洗練された探究活動が行えるようになります。

仮説  →  調査  →  検証  →  考察

探究活動は「仮説」からのスタートです。

自分の持っている情報から、「その時間軸はどうだったか」をまず想像しましょう。
どんな理由でどのようなイメージを膨らませたかを仮説として用意します。仮説に関しては間違っていても問題ありません。むしろ間違っていた方が「実はこうだった!」という意外な結論が待っているかもしれないので正直に仮説を設定しましょう。

次は「調査」です。

自分の立てた仮説が合っていたのか、間違っていたのかを判断するための情報を集めます。この時に図書館などを利用しますが、少しでも関係のありそうな情報なら全て記録しておきましょう。

内容と記載されている文献などのタイトルと行などをメモしておくと、後で再調査が行えて便利です。コピーをする場合でも余白などに文献などのタイトルを書いておきましょう。ネット情報の場合はURLも忘れずに。

情報がある程度揃ったら、「検証」を行いましょう。

自分の仮説が合っていたのかどうかを検証します。合っていたのであれば、補足情報が他にないか。間違っていたのであれば、なぜ間違ったのかをまとめておきましょう。どれも後で使える有益な情報になります。

もし断言できないようなら「どんな情報があれば良いのか」を仮説として「調査」からやり直しです。

再調査になっても落ち込む必要はありません。「何が分かって、何が分かっていないのか」が明確になっているので、着実に一歩ずつ進んでいます。もし全てがトントン拍子に進むのであれば、世の中には研究者という職業自体が存在しなくなってしまいます。落ち着いて1つ1つやっていきましょう。

最後に考察です。

なぜその結論に至ったか、どんな共通認識や誤解があったか、などをまとめていきます。このまとめがレポートや発表で使う情報の元になってきます。なるべく端的で短い文章になるように注意してまとめていきましょう。

この流れを3つの時間軸全てで行えれば、探究活動は終了です。色々と考えることや不確定な事柄が多いですが、やることと大まかな流れは一緒です。

次はいよいよ発表です。発表に備えて情報を整理しておきましょう。

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