料理 ≒ 科学
料理と科学は非常によく似ています。それはどちらも再現性があるという共通点があるからです。
料理の場合はレシピと器具・材料さえあれば、多少の技術や道具の差はありますが基本的に同じ料理を作り出すことができます。
卵をフライパンで焼くと目玉焼きができますが、明日同じように卵をフライパンで焼いたらゆで卵になるというような現象は起こるでしょうか。
答えはご存知ですよね、そんなことは起こるわけありません。
人によってや日によってという要素は完成品には影響を与えません。
同じ手順で作れば必ず同じ結果が得られます。これこそが科学の真髄です。
誰がどう実験をしても同じ結果になる。これこそが再現性であり科学の本質となっています。
科学は現代でこそ再現性が最重要のものとされているが、過去には魔術や魔法といった見方がされていた時がある。この魔術や魔法と言うのは特定のタイミングや特定の材料を使うことによって結果が変化し必ずしも同じ結果になるとは限らないと言うものである。具体的には必要な材料に何らかの神秘的な付加価値が付いているものがある。例えば材料にススキの方を使う場合、ただのススキではなく満月の夜のススキなど特定の時間や特定の場所を指定する事はよくあった。ただし、時期や質によって温度などの環境要因が変化しその結果有用成分が増大すると言うような条件であれば正しいとも言えるが一概にすべて理論的な意味付けがあったかどうかは定かではない。また、その1族や派閥にのみ伝わる言語を用いることによって技術や知識を取得し自分たちだけが占有するものとして科学技術を扱ってきた歴史もある。そのため現在の科学や料理のように基本的にはレシピややり方が公開されどんな結果が得られるかなどを公開されるようになってから人類の科学的な発展は爆発的に増大したと言えるだろう。
料理で比の計算やプログラミング思考が出来るように!
料理が出来るようになると理系科目の学習にも有用な影響を与えることが期待できます。
レシピの応用方法がその理由になります。
例えば家族4人分の料理を作りたいとしましょう。本やインターネット上のレシピでは3人前のレシピしか載っていなかった場合、量をレシピ通りに作ってしまうと4人で食べるには少し足りない状態になってしまいます。
そのため、ちょうど良い分量を作るためにはどうすればいいかと考えることになります。
目分量で増減すると、そもそもレシピの意味がなくなってしまいます。味を変えずに4人分作るための解決策としては3人前のレシピを4人前の分量に計算し直すことです。
この時に、レシピにある分量を3分の4倍すれば4人分のレシピになりますが、3人前のレシピを3で割って1人前のレシピをイメージすることによって、その後何人前でも正しい比率で調理を行うことができるようになるでしょう。これは定量的で再現性があるからこその事柄です。
このように、いかに応用が利く状態でレシピを扱えるかが科学的な思考能力や現在導入が進んでいるプログラミング教育に通ずるものがあると言えるでしょう。
調味料と化学物質の性質の関係
調理方法には化学物質の性質を利用したものも数多くあります。
例えば、調味料の「さしすせそ」は砂糖、食塩、お酢、醤油、味噌を表しており、調味料の入れる順番の指標になっています。
なぜ、「さしすせそ」の順番に入れなければならないのでしょうか、これは各調味料の科学的な性質を利用することにより、料理の完成度が高まるからです。
まず料理のさしすせその順番に関しては浸透圧などの問題があります。
※煮汁などの濃度が大きい場合は、食材から水分を吸い出そうとする働きが大きくなり、時間をかけないと味が染み込みにくくなってしまうという現象が起こります。
「さ」・・・砂糖
まず加える調味料は砂糖を最初に入れることになりますが、砂糖の基本的な成分はショ糖といいC12H22O11で表され、分子量は342という大きさです。この分子量342という数字は非常に大きく、たくさんの量を入れないと濃度が濃くなりにくいという特徴を持っています。
※分子量に関しての記事は作成中
そのため、食材から水を吸い出す効果が低く、分子量が大きいため味が染み込みにくいので先に入れて下味をつけるという意図もあります。また、砂糖には保湿効果があり食材を柔らかくする作用が備わっています。
また、人間の下には味蕾という味を感じる組織があるのですが、これも濃度が大きくなりすぎると細かい味がわからなくなってしまいます。そのため、塩分などで濃度が大きくなって細かい味が分かりにくくなる前に、繊細な甘さを決めておきたいという意図も含まれています。
「し」・・・食塩
食塩の主成分は塩化ナトリウム(NaCl)で、そのほかに苦汁とも呼ばれる塩化マグネシウム(MgCl2)などによって風味や後味などに影響を与えています。
この塩化ナトリウム(NaCl)の分子量は36.5なので、砂糖(分子量342)に比べて約9倍濃度が濃くなりやすいことになります。そのため、先に食塩を入れてしまうと食材に味が染み込みにくくなる上に、味として塩分の主張が激しくなり、甘さが足りているのがどうかの判断が非常に難しくなってしまいます。そのため、砂糖の次に入れることが推奨されています。
「す」・・・お酢
3つ目がお酢です。主成分は酢酸でCH3COOHで表され、分子量は60です。
分子量は少し大きいですが、早く入れてしまうと香りが飛びやすい上に、酸性によってタンパク質が固まってしまいます。肉や魚などは固まることで味が極端に入りにくくなってしまうので食塩の後に入れることになっています。
また、舌は複雑な味になればなるほど細かい味が分かりにくくなります。そのため、この「す」以降の調味料は全部、砂糖や食塩に比べて独特の味や風味を持つ調味料なので、砂糖と食塩でおおよその味を決めてから加えることで大きな失敗を防ぐことが可能になります。
「せ」・・・醤油
お酢の次が醤油です。これは食塩が含まれているのは明らかですが、発酵食品であるため多くの化学物質が含まれています。
早くに入れてしまうと風味が飛ぶのでなるべく最後に加えます。また、風味と塩分以外にもコクや旨味など複雑な味を持つ調味料なので、最初に入れて大雑把な味付けになることを防ぐために最後の方に入れるようになっています。
「そ」・・・味噌
最後が味噌です。日本が世界に誇る伝統調味料で、「さしすせそ」の中で最も複雑な成分・風味・味を持っています。
味噌独特の風味を最大限生かすために、加熱を最小限にするために一番最後に入れて仕上げとします。味噌汁においても、完成する直前に加えて沸騰させずに器によそうのがおいしい味噌汁の作り方のコツでもあります。
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